に溺れる愚者



身体を伏臥するように反転され、膝で立つように腰を掲げられた。珀明は、その初めてとる姿勢に抗議の言葉を上げるが、龍蓮の指が後孔に触れてきたせいで、すぐに掻き消えてしまった。

「・・・っ、ゃぁ・・・・・・いっ・・・ぅ」

珀明の放った精液を纏った龍蓮の指は、徐々に後孔へと挿入していく。その刺激と羞恥心を、珀明は敷布を掴みながら耐える。なるべく珀明の気を逸らさせようと、龍蓮も珀明の頬や項、肩甲骨へと唇を這わす。

増やすぞと名前と共に耳元で囁かれ、それすらも快楽に変わるなんて自分も大概溺れている、珀明は内心自嘲した。そして、増やされた指に、再び喘ぐ。
2本、そして、慣れたと判断すると3本へと増やされる。痛みを伴っていたはずの行為も、次第に痛みよりも快楽へと変わっていく。中を蠢き、掻き回される指に翻弄されながら、珀明の腰が小さく揺らめく。

「ぁ・・・んっ・・・・・・りゅ・・・れん・・・もっ、やぁ」

珀明は、身体を捩りながら懇願を示す。放置されたままの自身が熱く猛っている。触れることも触れられることもなく、先走りの露が零れる。弄られた後孔に快感が纏わりつき、より深い刺激を求めているのを、残された僅かな理性で感じ、感情が浮き出る。

「どうして欲しい、珀。」

羞恥心と快楽に打ち拉がれる珀明の背中へと、龍蓮は意地の悪い笑みを浮かべる。それが珀明に見えることはなかったが、珀明は心中悪態をついた。だが、愛撫を止められて、熱を持て余し、もどかしさが先立つ。

「ぁあ・・・挿、れ・・・てぇ・・・りゅ・・・れ・・・」

普段なら絶対に言わない言葉が珀明の唇から漏れ、敷布へと消えていくが、その小さな懇願は龍蓮の耳へと届いた。片側の唇を僅かに吊り上げ、龍蓮は満足げな表情を浮かべる。身体の熱が上がった気がした。この行為に例え引き返す道があったとしても、恐らく自分は引き返さないのだろうと、龍蓮はひとりごつ。
そして、その後、指が引き抜かれる。

「・・・ぁ」

喪失感を味わい、珀明は小さな声を洩らす。だが、引き抜かれるのと同時に、そのままの体勢で取り出された龍蓮の昂ぶりが後孔へと宛がわれ、ゆっくりと珀明の中へと挿入される。

「ぁああっ・・・く・・・つっぅ」

指とは較べようのない熱い質量に、珀明は息を詰まらせる。その衝撃で意識が遠退きそうになるが、伴う痛みに引き摺り戻された。痛いと口にしたところで止まる筈のない行為に、珀明は敷布に顔を埋めて堪える。敷布が自分の唾液と涙で濡れ、染みを作るのがわかったが、気にしている余裕もなく、すぐに頭から掻き消えた。

ふと、腰に添えられた龍蓮の手の力が弱まる。

「全部、入った・・・・・わかるか、珀。」

その艶を含んだ声に、龍蓮も感じているのだとわかり、珀明は何処か安堵を覚えた。小さく頷く。

「ひっ、ぃっ・・・っ、あっ」

動くぞという言葉を合図に、珀明の柳腰を掴む手に力が込められ、挿入が始まった。





續 (性的表現含、自己判断求ム)