おまけ



眠りに落ちてしまった珀明の隣に潜り込むと、龍蓮はその寝顔を眺めるようにして横になった。存外眠くなかったため、このまま珀明が目を覚ますまで寝顔を鑑賞したまま待つのも良いと思う、勿論、珀明と一緒に同じ床で眠ると云うのも逃れ難いものであった。せっかくの珀明からの誘いでもある。
下ろされた金色の髪が、褥の上に乱れ散っている。龍蓮は、それにそっと触れた。今し方寝たばかりではあるが、早く起きてくれまいかと思う。それでも起こさないのは、珀明の身体のことを気遣う故ではあるが、それと本心は別のところにある。
けれども、こうして睡眠時という最も無防備である状態にも拘らず、隣に存在することを許容してくれる珀明がひどく愛おしい、やさしすぎるほどやさしいのだ。
龍蓮が珀明に故意に触れようとすれば、珀明はおそらくその手を払い除けるだろう。龍蓮が口付けをしようものならば、珀明はおそらく唇を噛み締め顏を背けるだろう。龍蓮がその身体を、快楽を求めようとすれば、珀明はおそらく四肢に力を込めて拒むだろう。
その抗いすらも愛おしい、しかし、最終的には受け入れてくれるあまさが愛しい。ときおり、無意識に触れてくる手がうれしい。
龍蓮は、つれない心の友の寝顔を見ながら、唇の端を僅かに吊り上げた。
起きないだろうか。
龍蓮は珀明の髪から指を離し、珀明が起きるまでのじれったいような時間を、珀明を起こさないように静かに待ち続けた。





短くてごめんなさい。本当にただのおまけでしかありませんでした。
龍蓮はよいこです、ちゃんと、珀明が自然に起きるときまで「待て」ができるよいこだと思います。でも、やっぱり待っているだけなのはつまらないので、じっくりとその寝顔を鑑賞することはおそらく間違いないだろうなと思います(笑)